読譜力をつける


「子供の頃ピアノを習っていたけど、すぐにやめてしまった。」という方、残念ながら少なくないですよね。なぜすぐにやめてしまったのか、理由を伺うと、圧倒的に多いのが「先生が怖かった。」「譜読みが苦手だった。」のどちらか、またはその両方でした。

前者について、当教室は自他共に認める“子供が大好きな優しい先生“の教室で(笑)、『褒めて伸ばす』がモットーです。

後者の譜読みについて、お話します。
譜読みとは、ただ単に音符の名前と場所を記憶して、それを一つ一つ読み込んで行く作業とは異なります。
例えば、楽譜の大半を占めるのは1〜3度という非常に幅の狭い音程で、そこを理解して和音を“かたまり読み“出来るようにトレーニングすることで、譜読みがとても楽になりますし、楽譜の中の“同じもの探し“をするだけでも譜読みの速さは上がります。
また、メロディーに込められた詩や言葉、ハーモニーが作る景色や感情の描写、そこを味わいながら譜読みが進められるように前もって教えてあげることも大切で、それらは新しい楽譜を読む楽しみへと繋がって行きます。
つまり、譜読みをより楽しく速くするためには、《重要なコツ》というものがいくつもあります。
それらは小さなうちに習得出来るに越したことはありませんが、何歳になってからでも決して遅くはありません。
大人の生徒さんで、ピアノは好きだけれど譜読みに時間がかかって大変、とおっしゃっていた方も、譜読みの論理を頭に入れることで、グングン読譜力をつけていらっしゃいます。

表現力を磨く


表現力とは、豊かな想像力の上に成り立つものです。
例えば、楽譜によく出てくる音楽用語に、Dolce(優しく、甘く)、Maestoso(荘厳な、堂々とした)、Appassionato(情熱的に、激情的に)、Leggiero(軽やかに)、などがありますが、「優しく甘く、とはどのような感覚?」、「荘厳、とはどんな雰囲気?」、「情熱的ってどんな感情?」、「軽やかなものって、例えば何?」etc…
それらを想像する力がなければ、どのように表現すれば良いのかわかりません。
人とふれあう、自然の中で遊ぶ、たくさんの本を読む、絵画や建築物にふれる、良い映画を観る……、経験の全てがその人の想像力となります。
色々な楽器の音楽を聴くこともそうですし、クラシック以外の音楽も新たな想像力をかき立ててくれます。
そのようなお一人お一人の日常の経験を、大事に暖めて行きたいのと同時に、レッスンでは多くの言葉で想像力をふくらませ、様々な世界を想像する楽しさと、表現する喜びを大切にしております。

美しい音・多彩な音色


生徒さんたちには、毎回のレッスンで音楽の楽しさを味わい、ピアノを弾いて「あ〜楽しい、あ〜幸せ」と思える瞬間がいくつもあって欲しい、と願っております。
美しい音は、弾く人にとっても聴く人にとっても、心のセラピーのようなものではないでしょうか。
そして表現したい思いがたくさんあればあるほど、多彩な音色でそれらを伝えたいものです。
音色を作るためには、耳を育てることと音のイメージを持つことが大切です。そしてそのイメージが持てるようになると、ではどのように打鍵するとイメージに近い音になって行くのか、というテクニック的な話につながって来ます。

レッスンでは、先ずはどんな音を出したいのか、という話から始まり、美しい音とそうでない音の弾き比べ聴き比べをしながら、なぜそのように音色が変わるのか、いったい体のどこをどのように使うとその音が出るのか、といった具体的な指導を通して、音作りを楽しむことを大切にしております。

テクニックを身につける


楽器の演奏は、上手になればレパートリーも増えますし、どんどん楽しくなるものです。
しかし、ただがむしゃらに練習しても腕前は上がりません。
恩師エディット・ピヒト=アクセンフェルト先生のお言葉に、「オートマチックに出される音は一音たりともあってはならない。」というものがあります。
このお言葉は、彼女の弟子である井上直幸先生も韓伽倻先生も頻繁に口になさり、私も上級の生徒さん達にはよくこの話をします。(もっとも私は、「一音たりとも、とまでは言わないけどね。」と大体の場合は付け加えておりますが。)

つまり、音を鳴らす際、指の手の腕の…体のどこをどう使って音を出すのか、ということをわからずしてテクニックを磨くことは出来ません。
難しいパッセージを弾きこなすためには、それ相応のテクニックを身につけたいですし、表現力を上げるためには、その表現を支える音色を美しく豊富にしたいです。
例えば、
・ミスをしやすい原因は何か?→どこに視点を置くとそれが弾きやすくなるのか。
・どうして固い音になってしまうのか?→体のどこをどう機能させるとそれが美しい音になるのか。
等々、レッスン中にこれらの《具体的なコツ》が掴めるようになると、お子さんでも大人の方でも、難しいパッセージが驚くほどすぐに弾けるようになり、音色も変わります。
しかし、それをいつでも再現出来るようにするのは簡単ではなく、努力と時間が必要になってきます。
そこを可能にして行くのが日々の練習であり、お家でどのような練習をすれば良いのかも指導しております。

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